農作物の成長には時間がかかるので、他の作業をしながら待ったほうが効率的です。しかしプレイヤーから遠く離れた場所はブロックが更新されず、作物は成長してくれません。いったいどれだけの距離までなら離れても大丈夫なのか。巨大な畑を作って検証してみました。




JEで農作物が成長するのは127~135ブロック先まで

結論から言うと、Java Editionで作物が成長するのは「プレイヤーから120ブロック先のチャンクまで」でした(統合版は「シミュレーション距離」で指定した距離まで)。これは以下のような実験で確かめることができます(バージョン1.13.2で検証)。

  1. スーパーフラットでワールドを生成し、
  2. コマンドでrandomTickSpeedを0にしたら、
  3. プレイヤーの周囲480×480くらいの範囲を全て耕地にして、
  4. 全耕地に小麦を植える。
  5. randomTickSpeedを300にして作物が成長するのを待ち、
  6. ある程度育ったらrandomTickSpeedを0にして成長範囲を調べる

以下で実際の作業を紹介しながら結果を解説していきます。

検証ワールドの生成

作物の成長は、コマンドでrandomTickSpeedの値を変更すればコントロール可能です。randomTickSpeedのデフォルト値は3になっていて、これを0にすればブロックの更新が行われず(作物は成長しない)、300にすればデフォルトの100倍のスピードでブロックが更新されることになります。準備しているあいだに作物が成長すると困るので、スーパーフラットでワールドを生成後、すぐにコマンドでrandomTickSpeedの値を0にしました。

/gamerule randomTickSpeed 0

このコマンドを実行しておけば、耕地に植えられた作物が成長することはありません。草ブロックや菌糸の伝播、耕地の湿り&乾きなどもおこらなくなるので、Java Editionでは耕地を作るときに水を設置する必要もありません(統合版BEでは必要)。

耕地の作成

プレイヤーを中心に480×480くらいの範囲を全て耕地にしました(もし同じ実験をするのであれば、300×300くらいの範囲が耕地になっていれば十分です)。もちろん1ブロックずつ耕地を設置していくのはきつすぎるので、コマンドを使って一気に設置しました。

/fill ~ ~-1 ~ ~180 ~-1 ~180 minecraft:farmland

上記のコマンドを実行すると、プレイヤーからX軸方向・Z軸方向に180ブロック先までの地面を耕地にすることができます。普通は近くに水がないとすぐ土ブロックに戻ってしまいますが、randomTickSpeedが0になっていれば耕地のまま維持されるので大丈夫です(統合版ではrandomTickSpeedが0でも近くに水がないと土が設置されてしまいます)。

生成された耕地。
生成された耕地

耕地ができたら作物を植えます。今回は小麦をコマンドで植えました。

/fill ~ ~1 ~ ~180 ~1 ~180 minecraft:wheat

耕地は普通のブロックよりも少し低くなっているので、コマンドで耕地の上に作物を植えるときはY座標の相対座標は1段高く指定する必要があります。

一面に植えられた小麦。視点を動かすと緑色の点がウニョウニョして気持ち悪いです。
一面に植えられた小麦

プレイヤーは耕地の中央で待機。
プレイヤーの待機場所

待機場所に立った状態でrandomTickSpeedを300くらいに変更すると、作物がどんどん成長していってくれます。理論的にはrandomTickSpeedの値を1000とか10000にすればさらに高速で作物が成長してくれるはずですが、PCのスペックが足りていないのか私の場合は1000以上にするとかえって成長が遅くなってしまいました。

水をおいていないので、通常よりも作物の成長が遅くなります。ただ、少しでも成長してくれれば成長範囲の区切りはわかるようになるので、長時間待たなくてもOKです。数十秒待ったら再びrandomTickSpeedを0にして上空から耕地を観察し、どの範囲まで小麦が成長したのかを調べます。

小麦が成長していた範囲

小麦が成長していた範囲は、ブロック数で言うとプレイヤーが立っているブロックを含めて、128ブロック前後。それよりも離れた位置は、植えた状態のまま全く変化していませんでした。

チャンクの端(X=0,Z=0)に立ったときの成長範囲。
チャンクの端に立ったときの成長範囲

プレイヤーを中心に円形になっています。成長するチャンクでは全ての作物が成長し、成長しないチャンクでは全て成長しないという状態になっていたので、作物の成長はプレイヤーからの距離におうじてチャンク単位で判定されているようです。

先ほどの画像を図にすると、以下のようになります。1つのマスが1チャンク(16ブロック×16ブロックの範囲)です。
成長範囲の図

原点(X=0,Y=0)を中心に128ブロック先まで小麦が成長していました。プレイヤーを中心に、前後左右で8チャンクの範囲ですね。

チャンクの中央に立ったときの成長範囲。
チャンクの中央に立ったときの成長範囲

図にするとこうなります。
成長範囲の図2

プレイヤーが立っているところを含めて、X軸方向、Z軸方向には136ブロック先まで成長していました。9チャンク分です。ただマイナス方向は120ブロックと、7チャンク分になっています。合計すると16チャンクなのは先ほどと同じです。総チャンク数(線で囲まれた部分)は、先程より少なくなっています。

プレイヤーがX=0,Z=0からX=1,Z=0、X=2,Z=0・・・と、X軸方向に少しずつ進んで行ったとき、X=8,Z=0でX軸方向の成長範囲が9チャンク分になったことから、プレイヤーから120ブロック先のチャンクまでが、作物が成長する範囲になっているようです。距離にしたら最大で135ブロック先まで。それよりも遠い場所では時間が凍結(更新が停止)され、作物が成長してくれません。

苗木も同じ範囲で成長しました。
苗木の成長範囲

高さは関係なかった!

横方向の距離がわかったところで、次に気になったのは高さです。Y=240の高さに耕地を作り、その上に小麦を植えてみました。

その結果がこちら。
上空の畑

地上の境目に沿って、上空でも小麦が成長しました。成長するチャンク内であれば、高さはどれだけ高くても関係ないようです(ただし、ブロックがおけるのはY=256まで)。統合版でも試してみましたが、同じように上空でも作物は成長してくれました。

どんなに高くても作物が成長してくれるなら、畑を何層も重ねることでスペースを節約しつつ大量の作物を栽培することができます。さすがに植え付けの必要な作物は難しいですが、サトウキビやカボチャなど植え直しが必要ない作物なら上空での栽培を考えてみてもいいかもしれません。

何層も重ねられたサトウキビ畑。
何層も重ねられたサトウキビ畑

ただ、こういう畑を作ると重たくなってしまうので、村や牧場など特にMobがたくさんいるところは避けて建築するようにしましょう。




統合版ではシミュレーション距離で決まる

統合版の場合は、設定で「シミュレーション距離」を4チャンク、6チャンク、8チャンク、10チャンク、12チャンクから選ぶことができます。ここで設定した範囲によって、作物が成長する範囲が変化します。

成長範囲の図。
統合版成長範囲の図

プレイヤーがいるチャンクから東西南北に、シミュレーション距離で指定した数値分だけ進んだ範囲までが成長します。シミュレーション距離が10なら、プレイヤーがいるチャンクも合わせて11チャンク先まで作物が成長してくれます。

Java Editionとは違って、プレイヤーがX=8,Z=8(チャンクの中央)やX=15,Z=15(チャンクの端)に移動してもこの範囲が変化することはありませんでした。またJava Editionでは範囲が円形でしたが、統合版ではひし形にちかい形になっています。ブロック数でいうと最長で208ブロック先の作物まで成長するので、Java Editionよりはかなり遠い場所まで離れても大丈夫です。

Java Editionも描画距離の影響を受ける

Java Editionでもビデオ設定の「描画距離」で7チャンク以下を指定したときに、成長範囲が狭くなりました(8~32チャンクでは変化なし)。描画距離を最小の2チャンクにして作物を育ててみると、プレイヤーがいるチャンクから東西南北に3チャンクずつの範囲(7チャンク×7チャンクの範囲)しか成長してくれません。

描画距離2のときの成長範囲。
描画距離2の成長範囲

8チャンクにすれば32チャンクと同じ範囲の小麦が成長します。描画距離を低く設定したい場合は、8チャンクまでにとどめておいたほうが良さそうです。

作物以外の時間凍結

作物や苗木が成長する範囲がわかったので、今度はかまどの精錬が停止する距離、トロッコの移動が停止する距離、ドロップしたアイテムの消失が停止する距離をそれぞれ調べてみました。

かまどの精錬が停止するのは526ブロック先

かまどの精錬が停止する距離を調べるにあたって、問題になったのが「プレイヤーが近づけば停止しているかまども動き出す」という点です。どの距離まで動いているのか、プレイヤーが直接かまどを開いて確認することができません。そこで次のような設備を作りました。

かまどの検証用設備。
かまどの検証用設備

かまどには精錬するアイテムを1つだけ入れておき、燃料はかまどではなく隣のホッパーに入れておきます(予めレバーはONにしておく)。レバーをOFFにすると横のホッパーから燃料が供給され精錬開始。精錬されたアイテムはかまどの下のホッパーで回収され、プレイヤー近くのチェストに格納されます。このチェストにたまった分が、かまどが動いている距離になるというわけです。遠い場所もしっかりOFFになるように、レバーをOFFにしたら500ブロック先までテレポートし、ワイヤーがOFFになったことを確認してからすぐ待機場所に戻ってアイテムが回収されるのを待ちます。

描画距離 稼働距離
32 525
24 398
16 270
8 162

かまども描画距離に影響を受けて、上表のように数値が変化しました。だいたい描画距離と同じだけの距離が動作するという感じです。描画距離32では525ブロック先のかまどまで精錬することができますが、描画距離が8になると162ブロック先にまで減少。描画距離を短く設定している場合、精錬しながら何か作業するならあまり遠い場所には移動しないようにする必要があります。

トロッコが停止するのは500ブロック前後

例えばアイアンゴーレムトラップから鉄をトロッコで自動運搬している場合、線路から少し離れるとトロッコが停止してしまわないか心配になります。そこで、どれだけの距離までならトロッコが動いてくれるのかも調べました。

トロッコの検証用設備。パワードレールは25ブロック間隔で設置してあります。
トロッコの検証用設備

何も載せていないトロッコはすぐ停止してしまうため、村人を載せてトロッコを出発させます。プレイヤーが追いかけるとトロッコは永遠に走り続けてしまうので、プレイヤーはトロッコを押したらスタート地点で待機。トロッコだけ走らせてしばらく放置し、killコマンドで村人を処理します。

/kill @e[type=minecraft:villager]

村人がいなくなったトロッコは少し進んで停止するので、飛んで停まっている位置を調べに行きます。

描画距離 トロッコの停止位置
32 512
24 387
16 258
8 129

トロッコも描画距離の影響を受けて、上の表のように停止位置が変化しました。こちらもほぼ描画距離と同じだけ進んでいる感じです。描画距離16チャンクでも250ブロックの距離まで動いてくれるので、わりと遠い位置からでもアイテムを運搬できそうです。

ドロップアイテムが消失する距離は500ブロック弱

地面に落ちているアイテムは、誰にも拾われずに5分ほど経過すると消失してしまいます。しかしプレイヤーからかなり離れている位置なら、時間が凍結されてアイテムが消えずに残るはず。いったいどれだけの距離はなれていればアイテムが消滅しなくなるのか、以下の手順で調べてみました。

  1. fillコマンドで茶キノコを前方500ブロックに設置する
  2. 茶キノコがアイテム化するのでしばらく放置
  3. プレイヤーの近くのキノコが消えたら、どこまで消えているか調べる

コマンドで設置された茶キノコは、設置された場所が明るいとはじけとんですぐにアイテム化します。そのまま目の前の茶キノコが消えるまで待ち、消えたらどこまで消えているか調べます。

/fill ~ ~ ~ ~500 ~ ~ minecraft:brown_mushroom

上記のコマンドを実行すると、プレイヤーが立っている場所からX軸方向に500ブロック先まで茶キノコが設置され、はじけ飛びます。

アイテム化した茶キノコ。
アイテム化した茶キノコ

最初は広範囲にアイテムがばらまかれるようにやってみましたが、アイテムの数が多くなりすぎると正常に処理されないようだったので、目の前にまっすぐ茶キノコを設置して実験しました。

描画距離 消えた距離
32 496
28 433
24 368
20 303
16 242
12 175
8 112
4 64

コマンドで出現させた茶キノコは不規則に飛び散るので、「消えた距離」はおおよその数値になります。

キノコが消えていたのはプレイヤーが立っているブロックから、495ブロック先まででした。上空Y=255の位置でも試してみましたが、同じように495ブロック先まで消えてしまっていました。こちらも、高さは関係ないようです。

アイテムの消失がチャンクごとに判定されているとしたら、32~8チャンクまでは描画距離-1までのチャンクでアイテムが消えると言えそうです。数値的にもほぼ合致します。8チャンク以下では少し法則が崩れますが、描画距離が短くなれば、アイテムが消える範囲も短くなるのは同じですね。表にはありませんが2チャンクしか表示しない設定だと、たった50ブロック先に落ちたアイテムも消えずに残っていました。

例えばモンスターにやられて貴重なアイテムが散らばってしまったときなんかは、描画距離を短くした状態でアイテムを探しに行けばアイテムにかなり近づくまで時間を凍結させておくことができます。ただ、描画距離が短い=見えている範囲が狭いということなので、アイテムが落ちている座標がピンポイントでわからなければあまり使えないテクニックです。

ということで、作物の成長範囲の紹介でした。Java Editionでも統合版でも、畑の位置はよくいる場所の120ブロック以内にしておけば間違いないです。農業や植林を始めるときは、ぜひ参考にしてください。